小説「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」感想
訳あり同窓会ツアー
主人公:多崎つくる
東京で30代の駅を作る設計の仕事をしている。大学時代に訳もわからず仲良しグループから国交断裂ともいわんばかりのハブられ方をした可哀想な男。
ひょんなことで絶交された原因を探ろうと仲良しグループの4人 赤、青、黒、白、という色のついた名前をもつ彼、彼女らに会いに行く話。
絶交された原因はある程度わかったけど、よくわからない表紙のモヤモヤが残るような終わりになりました。
久々の友人達と話すのは楽しいものですね。
その中の黒はフィンランドへ移住していて、主人公も驚愕の行動力でフィンランドへ行くのですが、村上春樹文体と静かな外国は合いますね。
木々と空気の冷たさや静謐さが伝わってくるようです。
黒の色っぽさもフィンランドと村上春樹マジックで最高潮となっていました。
赤、青は立派な大人になっている模様です。
野犬と忠犬のような相対する雰囲気が面白いです。
かつての親友と会うことで、主人公の中の止まっていた時間が動き出す。
一種のエネルギーを感じるこれが人間的関係が織りなす気のようなものなのでしょうか?
そして白は…
なんとも対話することの昂りを奮い立たされて、かつての友人に会いに行きたくなる。
そんな本でした。